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すききす10


堂上さん ひとり語り・・・
のち、郁ちゃん

すききす完結です。


郁 × 堂上 ・・・ 戦争の頃

* * * * *

笠原は初っ端から色々と俺に縁のあるヤツだった。
遡れば、奴が高校の時からだから、やはり、縁は深いのだろう。
そして、わざわざ、こんなキツイ、危ない仕事にすきで就きにくるのだから・・・。

ぷす〜・・・ぷす〜・・・

定期的に漏れる温かな呼吸が俺の首筋に当たる。
笠原との上官部下としての付き合いはまだ1年も経っていないが、こうやっておぶさって帰るのはもう何回目になるだろうか。


最初は、やはり直属の上官ということで、隊唯一の女子である笠原を守らなければ・・・
そんな事も思っていたかもしれない。今思えば、子供ではない笠原に対して失礼なのかもしれないが、やはり、男と違って、ヘタな事が起こってもまずい。
扱い方が解らなかったのかもしれない。

だが、時折見せる、無防備に俺の苛立ちは増して行くばかりだった。
奥多摩から戻って来た後の小牧とのこと・・・その後の手塚とのこと。
話を聞いている限りでは、当人はハッキリと断っているのだから、手塚に関しては殴っても文句は付けられないんだろうが・・・



そうなるとやはり。
「俺が一番説得力ないか・・・」



ど〜じょ〜・・・きょ・・・っか・・・?


「笠原・・・起きたか?」


きょ・・・かん・・・


いつもの寝言か?
こいつの無防備はどうにかせにゃイカンな。
いくら隊の仲間とはいえ、女1人なんだから・・・
だが、こいつに飲むなってのも言えないし・・・
いや、酒に弱いんだから、加減して飲めばいいものを、一気にジュース飲むように飲むからイカンのだ。酒の飲み方も教えにゃいかんのか・・・。


ど〜じょ〜きょ〜かん・・・


「どうした?」


ありがとう・・・ございます・・・


「なにがだ?」


いつも・・・


言葉はでてくるが、笠原の首の位置は変わっていない。
起きた様子もない。
笠原の首は、大抵外を向いているのだが、今回はいつの間にか内側に向き直っており、吐息がかかってくすぐったい。


はぁ〜・・・・
『いつも』で終った笠原の寝言は、俺になにを言いたかったのか解らないままだった。
ま、そういうことだろう。

『いつも、ありがとうございます』

何かしらにつけて世話をしていることを笠原は嫌ではないということだろうと思う事にした。
小牧の言う所の『過保護』も笠原にとっては厭ではない・・・と勝手に解釈することにする。

『恋愛云々はこれといって考えていない』

さっきバーで笠原が叫んだこの言葉に妙な安心感を覚えた。
憧れている奴はいる(例の見計らいの三正だ)だが、恋愛云々は今の所考えていない。
ということは憧れの三正以外に好きだと自覚している奴はいないということだ・・・。


自分の中で漸くすっきりした所で基地についた。
いつもよりも早い時間に戻ってきた。といってももう消灯時間間際なので、人気はほぼない。
柴崎を呼び出してもらう。呼び出したからといって笠原を運べる奴はそういないので、そのまま、笠原の部屋まで運んでいくことになる。

「あ、そうだったわ・・・」
寮官が鍵を持って現れた。
「柴崎さん、今晩お出かけだったの忘れてた。はい、堂上君、部屋の鍵」
笠原達の部屋の鍵を受け取り、笠原を部屋に運ぶ。
こうやって笠原をおぶって女子寮の廊下を歩くのも普通になってしまった。
男子寮ではうらやましがられるが、たいして変わらん。

よいしょっと・・・
笠原をベッドに転がす・・・

未だ夢の中の笠原を見ていると、さっきすっきりしたと思っていた感情が妙にずれる。

下ろした後、そのまま体勢を変えずに笠原の唇に己のそれをそのまま乗せる。
「お前からのキスは好きな奴にでもとっとけ・・・俺は・・・貰って行く」

スーツのままだったが、ふとんを被せて、笠原の部屋を出た。


* * * 


あ、教官に運んでもらってるんだ、私・・・。
何度か記憶のある堂上教官の背中・・・。
柴崎にも聞いた事がある。

もう、寮についたみたいだった。寮母さんの声が聞こえる。
あ・・・柴崎も出掛けてるんだ・・・

教官が鍵を受け取って廊下を進んでいるのが解る・・・。
今、起きれば・・・
でも、カラダが怠くて、起きるのが辛い。

どうしてこんなに疲れてるんだろう。
どうしてこんなに教官の背中心地いいんだろう。

教官には申し訳ないけど・・・運んでもらおう・・・。

ガチャ・・パチ・・・
カチャン・・・今日はドアの開け方が半端だったのかもしれない。
教官が部屋に入るとドアが締まる音がした。

私をベッドに寝かせる時はそっと置いてくれる。
こういう所はやさしいよね・・・

離れ際・・・教官の温もりが中々・・・離れなかった。



寝た振りをしていた訳じゃないけど・・・目を明けるのもおっくうで・・・
目の前に教官を感じた。


重ねるだけのキス・・・
でも・・・時間が・・・長い・・・!?

こ・・・これって・・・???

「お前からのキスは好きな奴にでもとっとけ・・・俺は・・・貰って行く」


離れ際に言われた教官の台詞・・・

『俺は貰って行く』

どういう意味だろう・・・。

あ、スーツ・・・着替えなきゃ・・・。
折角目覚めたんだし・・・。


・・・
教官だったら・・・私が寝てないの・・・気付いたかもしれない・・・
だから・・・キスしたの??
教官にまた試されたの?
私、無防備過ぎるから?

でも、私を送ってくれるのは教官だし・・・
教官が・・・その・・・そういう事を・・・好きでもない相手にするとは思わなかったし・・・


ぽろぽろと涙があふれた。

教官がしてくれた長いキスの感触が甦る。
熱かった・・・な・・・・。教官の唇・・・。

そっと唇を指で触れる。
いつまでも残る、堂上の感触を思い出して・・・。


『私からのキスは好きな奴にとっとけ』
小牧教官の時にも同じ様な事を言われたのに・・・

堂上教官、自分ばかり・・・ズルイ・・・


憧れている人はいる。誰かも思い出せないけど、いる。
でも、まだ・・・好きと思える人がいるかどうかは・・・わからない。。。

『好きな奴にとっとけ』

もう、私はとっておくつもりだったのに!
教官達がもってちゃったんじゃないですか!!


郁は顔を赤らめながら・・・
再度唇に触れ・・・

私の好きな人   か・・・


と誰もいない部屋で呟いた。



fin.



すききす
ここで終わりです。。。
え? これだけ!? って思われた方ごめんなさい。
ハッキリ自覚するのもまだまだ先だし、郁ちゃん自身はもやもやの中時期だし。
でも、堂上さん的には気持ちは持ってるよなぁってね。こうなったです。は〜い。すききすは二次の極みですって。
有り得ない有り得ない。この後、翌日には手塚くんの謝りシーンがくるはずです。
少女漫画的展開があったら『夕べのキスは、私の事を意識してるってことでいいですか?』的なもので進みそうな気もするんですが、それはないなと思い(ってか、堂上さんの気持ちには気付かないだろうな、こんだけしても・・・)子の状態になりました。。。
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